フランダースの犬!主人公ネロの過酷で悲劇的な最後とは?

フランダースの犬はベルギーのフランダース地方が舞台です。今ベルギーのアントワープにこの国の主人公ネロと愛犬のパトラッシュの銅像が建てられているとのことです。地元ではこの物語にいかに人気があったことが分かります。

世界名作劇場初の少年が主人公です。ネロは早くに両親を亡くし、母方の祖父に当たるジェハンじいさんと2人暮らしをしていました。ネロは小さいながらもしっかりした性格で、ジェハンじいさんを助けて毎日アントワープまで徒歩で牛乳運びの仕事をしていました。

そんな時に出会った1匹の犬。金物屋に酷使されていたパトラッシュです。ネロはそんなパトラッシュを心配していましたが、金物屋にひどい仕打ちをされてきたため、とうとう捨てられてしまい、そこでネロが助けたため、パトラッシュとの友情が芽生え始めました。

例え貧しくてもパトラッシュにとってネロやジェハンじいさんとの生活の方が幸せでした。助けてもらった恩返しにパトラッシュは牛乳運びの手伝いをかって出ます。最初はネロやジェハンじいさんは反対しましたが、パトラッシュの熱意に根負けして一緒に働くようになりました。りこうな犬ですね、パトラッシュは!

ネロにはとても仲良しの幼馴染のアロアがいます。アロアはネロが大好きで、いつもネロが仕事を終えて帰ってくるとお決まりの木の下でネロと遊びます。ネロも勿論アロアが大好きです。いつもネロとアロアは一緒に遊ぶ習慣があり、その上パトラッシュが加わったことによりますます仲良くなっていきました。

でもアロアの父親・コゼツはネロとアロアが仲良しなのを快く思っていません。何故かというとアロアは村一番の大富豪でお嬢様であり、貧しい子どもと自分の娘が仲良しなのを恥だと思っていたからです。いわゆる世間体を気にしていたのでしょうね。

ですから無理やりネロとアロアの仲を引き裂いては、会えないようにするためにアロアを一時的にイギリスの親戚のところへ預けたりと何とも大人都合のやり方で子供の気持ちなど一切無視していた一面が見られます。

大昔は身分で人間を差別していた傾向にあったことがよくわかります。貧乏人は常にお金持ちにペコペコしていて、土地や家を借りて生活をしていました。同じ人間なのにどうしてこんなに差があるのかって、悲観的になることを感じさせられましたね。

特にフランダースの犬では怒りを覚えるシーンが多すぎます。ネロの家の大家であるハンスはとても意地悪で、アロアの父親のコゼツにだけはいつも愛想よくしてましたが、それ以外の人間には威張りちらして、特にネロに対しては意地悪の仕方が半端じゃありませんでした。

自分に何か不都合が生じるといつもネロに罪を着せるのがハンスの陰湿なやり方です。ですからハンスはコゼツの使用人ですので、いつもコゼツはハンスの言葉を鵜呑みにしてはネロに対してますますつらく当たっていったんですね。

ハンスは貧しいネロやジェハンじいさんに対して様々な嫌味を発してます。これは現代で言う完全なイジメです。

ジェハンじいさん亡き後、ネロにはますます辛いことが降りかかってきます。心を込めて出品した絵が落選し、その上ハンスの言葉から村人たちに風車小屋の放火犯人にされてしまいます。

その上牛乳運びの仕事まで失ってしまう事態になり、ネロはもう生きて行く気力を失います。クリスマスの夜、風車小屋職人の証言によってネロの放火の疑いは晴れ、コゼツもハンスもネロに対して改心するようになりますが、時すでに遅く、ネロとパトラッシュは教会のルーベンスを2つの絵を見て、感激し、飢えと寒さで息絶えてしまいました。

何とも悲しい結末です。