あらいぐまラスカルは世界名作劇場の中では、現在でも人気を誇っている作品と言えます。主人公の少年スターリングと野生のあらいぐまラスカルが人間と動物を超えた友情物語を見事にアニメの中で当時の子供達に分かりやすく描かれているためだと思います。

ところで皆さんはこのアニメあらいぐまラスカルの原作者の名前をご存知でしょうか?他の名作劇場は有名な作家が多いですが、このあらいぐまラスカルだけは主人公の名前「スターリング・ノース」そのままです。しかも原作名も「はるかなるわがラスカル」であり、これは実話を元にアニメ化された、ということです。

登場人物も実名で挙げられており、特にスターリングの2人の姉のセオドラやジェシカは実在の人物です。しかし原作とは違うところがあります。実は原作ではスターリングには上に兄がいた、ということです。アニメでは兄は全然登場してませんね。

あくまで3人姉弟の設定になっていました。といいますのも、原作もアニメ版でもスターリングは末っ子であることには間違いありませんが、何しろ上の姉、兄とは年齢が離れていましたので、原作ではスターリングの兄は第一次世界大戦の兵士になり、早くに戦死してしまった、ということです。

やはり当時子供向けのアニメにしては、お兄さんが戦死していないというのは少し抵抗があるからといった配慮で、変更されたと言えます。

それからラスカルとの初めての出会いも原作とアニメでは大きな違いがあります。森の中であらいぐまを発見したのは同じですが、何処が違うのかといいますと原作ではスターリングは友人とあらいぐまの住処を掘って、強引に赤ちゃんあらいぐまを捕まえたとのことです。そしてアニメ版では母親のあらいぐまをハンターに撃ち殺されてしまった、この違いなんですね。

やはりアニメのスターリングは動物好きな心優しい少年ですから、原作そのままのスタートではとても好感を持てないことで、ここでも変更されています。

スターリングの住んでいたアメリカのミルウォーキーから離れたブレルスフォードも実在する土地名で、1910年代が物語になっていますので、当時としては実に田舎でのんびりしたムードの漂う暮らしをしていたのがうかがえます。

アニメの中でラスカルは檻に入れられる前は、庭に自由に放し飼いにされてましたし、各家には必ず玄関、裏口がありました。スターリングの家もちゃんと玄関と裏口がありました。彼の友達などは、玄関からではなく、裏口から入るのが当たり前となっていたくらいです。

夜寝るシーンでも、スターリングは家のカギをかけている様子など見かけませんでした。今の日本じゃ考えられません。簡単に泥棒や強盗に入られてしまいます。でもスターリングのいた田舎は治安が実によくて生活しやすい所であったことが浮き彫りにされているのがよくわかりました。

原作のスターリングは実際にラスカルを飼っていたわけですから、勿論可愛がっていたわけです。でもラスカルとの別れのシーンでも原作とアニメでは大きな違いがあります。

アニメではスターリングの父親の経営する牧場が台風で全滅し、事業の立て直しにも失敗したので、只1つ残された農場で働く父が住み慣れた家を手放したことにより、スターリングは姉の家に引っ越すためにラスカルを野生に戻す決心をして別れています。

原作では動物嫌いの家政婦が来るので、(アニメではハケットさんがモデル。でも原作では登場なし)檻に入れるくらいだったら野生に戻したほうがいいと考えて、ラスカルと別れています。

只原作、アニメと同じなのはカヌーにラスカルを乗せて湖で放す、という点です。実話でも変更点ありますね。